アイ・シイ・エスの熱処理 (硬化)
焼入れ、焼戻し
材料を強くしたい、硬くしたいときに実施します。
焼き入れると硬質のマルテンサイト組織に変化します。
焼き入れたままでは脆さが残るので、通常、その後に焼き戻しをして、強さと靭性(脆さをなくす)の調整を行います。
鋼は焼き入れて硬質のマルテンサイト組織が生成すると膨張し、焼き戻しによって縮みます。

マルテンサイト系ステンレス鋼 焼き入れ硬さ
\[焼き入れ温度 : 850...1100{}^\circ\mathrm{C}, ガス急冷時間 : 30[min]\]
焼き戻し温度と硬さ
\[焼き戻し温度と硬さ\]
\[焼き入れ温度 : 1000{}^\circ\mathrm{C}, ガス急冷時間 : 30[min]\]
\[焼き戻し温度 : 200...800{}^\circ\mathrm{C}, 焼き戻し時間 : 60[min]\]
炭素鋼のマルテンサイト変態に伴う膨張量
\[近似曲線 y=5.6451x^{1.193}\]
析出硬化、時効硬化
焼き入れとは異なり、500℃前後の比較的低温で高強度化、高硬度化ができる手段です。
この処理により、バネとしての性能(バネ性)も向上してきます。
ベリリウム鋼やチタン鋼の時効硬化処理
この処理で製品の強度、硬さは大きくなり、バネ性は向上します。
析出硬化型ステンレス鋼 (PH鋼) の析出硬化処理
加工するときは軟質状態 (固溶化熱処理) で、加工後に析出硬化処理を施して硬く強く出来ます。
Be-Cuの時効硬化曲線
\[O材の時効硬化曲線\]
\[\frac{1}{2}H材の時効硬化曲線\]
SUS301の時効温度と比例限耐力
\[80\%冷間線引き材における{\rm SUS}301の時効温度と比例限耐力\]